20161024
しばしの間実家に帰っていた。
やはり実家は居心地が良い。
いちばん良いのは自分でご飯をつくらなくても良いところ。
久しぶりにサンマとかビーフシチューとか自分ではなかなかつくらないものを食べた。
サンマに脂がのっていることに感謝した。
土曜の夜に自宅に帰り、昨日は久しぶりに近所の銭湯へ行った。
自宅はユニットバスなのでシャワーのほうが多く、たまに大きなお風呂に入りたくなると行くのだ。
思えば日曜の夜に銭湯へ行くことが多い。
毎週来ているのか、毎日来ているのかはわからないが何度か見たことのある人たちもいた。
銭湯に来ているとなんとなくいろいろなことを思い出す。
昨日は元彼のことを思い出していた。
彼と別れて1年半以上がたつが、今でもたまに思い出しては悲しくなったり、ムカついたりしている。
それが起きたのは彼と付き合い始め1年がたったころだった。
彼は浮気をはじめその相手とたったの4カ月で結婚した。
私はその流れの早さについていけず、ただただ泣いて過ごすしかなかった。
その時がいちばん辛かったと思う。悲しくて悔しくて毎日生きているのが辛かった。
相手は29歳の女で結婚を焦っていたらしい。
彼はあっという間に相手の女に飲み込まれていった。
全部書くと長くなるので省くが、昨日は彼が同棲していた部屋から出て行った日のことを思い出していた。
彼は10日間ほどその女を連れて自分の両親への挨拶と婚約届を出すため、それと仕事の出張のために故郷へと帰っていた。
その女を連れて行ったこと、結婚したことはSNSで知ったのだが私はその10日間を不安と心配で自分がおかしくなってしまうのではないかと思うほどの恐怖で過ごした。
思い出すのは彼が帰ってきた夜のことだ。
キャリーケースを引きずりながら彼はタクシーから降りてきた。
私はちょうどマンション下のコンビニへ飲み物を買い出しに行くところで鉢合わせた。
彼はニコッと笑いながら「おうっ。」と一言。
私は彼が帰ってきたことに驚きと緊張と安心を一気に感じた。
家に戻りベッドに腰かけて私は彼女を故郷に連れて行ったこと、結婚したのか?ということを問い詰めた。
初めは言葉を濁していたが結局結婚したことを打ちあけた。
そして、その女と結婚したため女のマンションへ引っ越すという。
彼は「2年後にお前と結婚したい。だから今は我慢してくれ。」
と私に希望を持たせることを言った。
そんなことあり得るはずないのに、私は彼の言葉を信じた。
私も頭がおかしくなっていたのかもしれない。
それでも彼のことが好きだった私はその言葉に希望をもった。
同棲していた部屋は彼の家だったので、すべてを引っ越すことになり私も仕事場へ移り住むことになった。
数日後、引っ越しの準備が始まった。私の荷物はほとんどなかったのですぐに移動できた。
彼の荷物を女のマンションへ移すため段ボールに詰めていく。
馬鹿みたいだったし、とてつもなく悲しかった。
だけど彼と過ごした今までの日々とこれからの日々と2年後のことを考えながらかすかな希望を信じきっていた。
電気もとってしまった何もない真っ暗な部屋で二人で床に寝っ転がった。
2人とも疲れていた。彼は寝ているみたいだ。
私は彼に抱きつきながらただ天井を眺めていた。
どうしてこんなことになってしまったのだろうと考えていた。
考えても考えても答えなんか出るわけないのだが。
寝ていた彼は目を覚ますと定食屋に行こうと立ち上がった。
近所の定食屋の前の道からはスカイツリーが見える。
2人で仕事を始めた当初、彼は夜中に作業をやめ休憩しようと連れていってくれた場所がこの道だった。
「スカイツリーだよ!すごいだろう!」
と私たちは2人でそのスカイツリーを眺めた。その輝きに疲れも吹っ飛んだ気がする。
いつか2人でスカイツリーに行こうと約束したが、その約束は叶わなかった。
もう大丈夫だと思っていた自分だが、こんなふうに彼のことを思い出すのはまだ自分自身の心の整理ができていないせいかもしれない。
彼と別れて、大好きだった仕事もなくなって、私は燃え尽きたようになった。
今は彼に対する好きだという感情ももうないと思う。
それでもあの時の辛かった気持ちを引きずっている。
未だにこれと言った打ち込めるものも見つかっていないし、あんなに追いかけていた自分の夢にさえ魅力を感じなくなった。
それでも諦めきれない自分がいたりして、ただただ無気力な自分が悲しい。